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ベトナム:「ジャーマン・ドリーム」過熱 ドイツ語学習、子供に投資

2010/03/30 10:00:48
 ◇移民親族頼り進学・就職
 ベトナムで、ドイツ語学習熱が過熱している。ベトナム出身の男性が昨年、ドイツで保健相に就任したことも「ジャーマン・ドリーム」に拍車をかけた。旧西独がベトナム戦争の難民を多数受け入れ、旧東独が社会主義の同志として労働者を招いた影響で、ドイツには合法的な移民だけで約8万4000人のベトナム人社会がある。若者は、独在住の知人らを頼りに、ドイツでの進学や就職を夢見ている。【ハノイで篠田航一】

 「僕は恋人を見つけるためドイツに行きます」。生徒がドイツ語で例文を作ると教師が「素晴らしい! ドイツで生活するのに一番大事なのはその正直さだ」とほめたたえた。

 ベトナムの首都ハノイの繁華街。大通りに面した独公的文化機関「ゲーテ・インスティトゥート」の一室で、ドイツ人教師がベトナム人生徒18人を相手にテンポよく授業を進める。ここ数年、年数百人単位で生徒が急増、現在は年約3500人が学ぶ。ローランド・シュトゥンプフ所長は「親族を頼りにドイツを目指す生徒が多い」と話す。

 昨年、ベトナム出身のフィリップ・レスラー氏が36歳の若さで独保健相に就任、独で「ベトナム人の奇跡」と話題になった。ベトナム戦争孤児の同氏は、生後9カ月で西独に養子として渡り、苦学して医師に。その後政治家に転身した。

 「レスラー保健相は熱心に勉強すれば夢がかなうことを示してくれた。ベトナム人の誇り。ジャーマン・ドリームです」。そう話すハノイのグエン君(18)は企業経営を学ぶためドイツ留学を目指す。土日も休まず毎日5時間以上ドイツ語の勉強に打ち込む。

 ゲーテ・インスティトゥートの授業料は計54時間で200万ドン(約1万円)。平均月収が6000円前後のベトナムでは決して安い額ではないが、親族一同で資金をかき集めて子供に投資する。

 08年からは独外務省がベトナムで語学教育を助成するプロジェクトを開始。現在はハノイ市内5校、ホーチミン市内2校で授業を展開する。しかし需要に供給が追いつかず、当面の課題は「ベトナム人教師の育成」(同所長)という。

 ドイツ語で観光ガイドをするドアン・トゥーさん(50)は16歳の娘をドイツに留学させるため、必死に資金をためる日々だ。トゥーさんは旧東独に留学し生物学を専攻。研究者を目指したが、ドイツ統一後の混乱で職が見つからずに帰国した。ドイツは、親子2代にわたる夢の国だ。

 独公共放送によると、ベトナム系は他の移民に比べ、大学進学を目指す中高一貫校への進学率が抜群に高い。背景には根強い家族意識があるとされ、一族から「秀才」を出すため各家庭が競って子供に猛勉強させる。ベトナムでのドイツ語学習熱も、ドイツに移住して定着した第1世代を頼る社会意識が背景にありそうだ。


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